鳳凰三山 地蔵ヶ岳(2764m)、観音ヶ岳(2840.7m)、薬師ヶ岳(2780m) 2015年8月22〜23日  カウント:画像読み出し不能

所要時間
8/22 5:27 中道登山口−−5:43 廃林道−−5:54 ドンドコ沢渡渉−−5:58 登山道−−8:07 白糸滝−−8:36 五色滝−−9:22 鳳凰小屋(テント設営) 10:24−−11:21 地蔵ヶ岳−−11:26 2740m肩−−12:01 撤退(2670m)−−12:26 休憩 12:38−−12:55 2740m肩−−12:58 地蔵ヶ岳−−13:57 鳳凰小屋(幕営)

8/23 4:05 鳳凰小屋−−5:26 観音ヶ岳 5:35−−5:59 薬師ヶ岳−−7:15 廃林道−−7:33 中道登山口

場所山梨県韮崎市/北杜市/南アルプス市
年月日2015年8月22〜23日
天候
山行種類一般登山 1泊2日幕営
交通手段マイカー
駐車場中道登山口付近に数台分の駐車スペースあり
登山道の有無地蔵ヶ岳〜??m峰間以外はあり。主にハイマツ
籔の有無地蔵ヶ岳〜??m峰間以外は無し
危険個所の有無??m峰付近は巨岩の積み重なりで絶壁で終わっていたり岩の間に深い隙間があったりと行き詰まることが多く危険
山頂の展望どこも大展望
GPSトラックログ
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コメント中道登山口から反時計回りで周回。地蔵ヶ岳から離山の尾根の様子を偵察に行ったが大気の状態が不安定でガスが下りてきたため?m峰の先で撤退。??m峰周辺は巨岩の積み重なりでルート判断が難しい。大きく巻いた方がいいかも。尾根の下り始めは急でハイマツ藪


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中道登山口奥の駐車スペース 中道登山口。ここも駐車可
右の林道へ入る ドンドコ沢
ここを渡渉。ちょっと水量多めだった 対岸
1年前より藪が延びてきた 樹林は藪無し
青木鉱泉からの登山道 岩屋
落ちていた手ぬぐい 白糸滝
五色滝 ドンドコ沢上流部
水が流れていた(いつもは涸れている) 鳳凰小屋
テント場。まだ高台に1張だけ 最奥地に陣取る
地蔵岳へ 地蔵岳直下
オベリスク基部から北岳方向 オベリスク基部裏側に「裏道」あり
今年はロープが下がっていた
オベリスク基部から見た地蔵岳北尾根。離山の偵察で行けるところまで行ってみる
オベリスクから北東へ ハイマツの下に明瞭な踏跡あり
2740m肩 2740m肩のお地蔵さん
2740m肩の遭難慰霊碑 2740m肩の謎の標識?
北へ向かう。獣道あり 獣道は尾根の西側にある
2710m鞍部付近はハイマツ 2690m鞍部付近。草付きで歩きやすい
2690m鞍部から登り返し。ハイマツが増える 2710m峰。巨岩の積み重なりとハイマツ
2710m峰にはケルンあり 奥の岩の先が崖で進めない
手前の岩から東に下る 崖を迂回して尾根に戻る
すぐに「ゴジラの背」で危なくて進めず撤退
斜面を巻けるがハイマツ藪
帰り道から地蔵岳
獣道 こんな場所ばかりなら歩きやすいのだが
もうすぐオベリスク オベリスク南基部
オベリスク南基部 オベリスク南基部
南から見上げrたオベリスク 鳳凰小屋到着
テントが増えたが満杯までいかなかった ペットボトルで光を拡散。使える
翌朝、観音岳へ。天気はイマイチ 観音岳山頂
観音岳から見た薬師岳方面 観音岳から見た白峰三山方面
観音岳から見た地蔵岳 ホシガラスが食事中
薬師岳 薬師岳山頂
中道の御座岩 廃林道
中道登山口近くの水場。パイプが設置されていた 中道登山口


 今週は久しぶりに中道登山口起点の鳳凰三山縦走にした。これは東京在住が残り2週間となり、長野移住後は青木鉱泉が遠くなって来る機会が減るのが確実だから。もう何回も歩いたコースだがこれが最後かもしれないと考えるとちょっと寂しい。

 ついでに可能な限り地蔵岳から離山への偵察をやることにした。天気予報では前線が近く大気の状態が不安定で午後は雨の可能性があって長時間行動はできそうにないが、地蔵岳から北に落ちる尾根の状態をできるだけ先まで確認しておきたかった。もしかしたら離山は下から登るより上から下った方が簡単かもしれない。雪が無い時期にこの尾根を歩いた記録は無く、実現できれば面白いと考えた。

 久しぶりなので中道登山口まで普通車で入れるか心配だったが、青木鉱泉入口まで舗装道路が伸びた以外は変わりはなく、その後の悪路もゆっくり走れば大丈夫だった。登山口には車は無かったが夜中に1台上がってきて隣に止まって私と同様に車中泊だった。

 翌朝、今日は鳳凰小屋まで上がるだけなので明るくなってから出発。中道登山口ではなく林道を歩いてドンドコ沢へ向かう。真夏だし最近は大雨は降っていないので渡渉できるだろうと想像しつつもちょっと心配だったが、やや水量は多目ながらいつもと同じように場所を選んで飛び石で対岸に渡れた。上空は雲が多く山の上は雲に隠れて見えない。実際には山頂からは雲海なのかもしれないが、下界からは山頂は雲の上に突き出ているのかはわからない。

 対岸の藪は2年間でかなり伸びて木が成長しはじめていた。もっと木の高さが高くなれば草藪が無くなって逆に歩きやすくなるかも。斜面には斜めに鹿道ができていたので涸れ沢まで進まずそれを上がってドンドコ沢登山道へ出た。

 あとは小屋まで登山道を歩くだけ。軽装の登山者に追い越されても気にしない。今回は意識して水を多めに飲んで疲れ方に変化があるか確認してみることにした。私の場合は発汗量に対して飲む水の量が少ないらしい。まあ、あれだけ汗をかけば2リットルくらいは水分が出ているような。給水量が不足すると体が疲労したような感じになるらしく、もしかしたらこれまでより楽に登れるようになるかもしれないと期待した。ちなみに夏山の場合、私の取る水の量は4時間歩いても1リットル程度、下手をすると500ccのペットボトルでも余るくらいだ。

 滝巡りは省略して樹林帯の急な登りルートを辿る。ここは適度に沢を横断するので担がなくても水が得られるのがいいところ。中道ルートを登る場合は行動中に必要な全ての水を最初から担ぐ必要があるが、ドンドコ沢ルートでは水を持たなくても大丈夫。今回は少し水量が多いようでいつもは出ていない場所でも水が得られた。

 白糸の滝と五色の滝は登山道から近いので立ち寄って写真撮影。少し水を飲んだだけで休憩せず出発。急な登りを越えると僅かに下って河原へ。ここも水が流れていたのでやっぱり水量は多目のようだ。ここまで来れば小屋は近い。沢の分岐で右の涸れた支流に入り左の尾根に乗ってすぐに鳳凰小屋。さすがにこの時間ではテントは見えない(最上段に1張だけあった)。小屋の従業員は朝飯の片づけが終わったところらしくテーブルの上には洗い終わった食器が山になっていた。

 早速幕営手続き。2年前は\700/人だった記憶があるが今回は\800/人。まあ、これだけ需要があれば需要と供給の関係で値が上がってもしょうがないか。前回幕営したときは夕方にテントが張り切れないくらい混雑して小屋のオヤジさんが既に張ったテントの移動をお願いして全員分を押し込んだのをよく覚えている。今日はそこまでになるか分からないが、そうなってもいいように私は幕営場所の一番奥の盲腸のように突き出た場所を確保。ここは前回も利用した場所で1人用テントがぴったり収まる大きさなのだ。いざとなったらテント場を横断せずとも下れる道もある。頭上は木の枝が張り出して日中でも日陰に入るしいい場所だ。

 濡れタオルで汗を拭ってテント内で少しくつろいでからまずは地蔵岳向けて出発。上空は相変わらず曇りで稜線は雲で見えず、お昼からはこれに加えて熱雲が加わって天気がさらに悪化することも予想され、今回は雨具の他に防寒具も多めに入れた。この時期は日が当たっていればダウンなど無用の長物だが日差しが無いままだと長袖シャツ+ゴアではちと寒いかもしれない。アタックザックでは入りきらず大ザックの出番。補助ロープも突っ込む。これはオベリスク対策ではなく離山までのルートが全く不明で、前回の熊ノ平〜黒檜山のように危険個所があるかもしれないためだ。出番が無いことを祈ろう。

 シラビソ樹林帯を登りきると花崗岩が風化した白砂の急斜面直下は短距離のダケカンバ帯。ここへ来て雲が切れはじめて青空が覗くようになった。でも足元が悪い砂の急斜面で直射日光に焼かれるのは暑い! 前方を歩く女性は少々お疲れ気味。固い足元なら歩きやすいがここはラッセルと同じ程度の体力消耗だ。ただし下りでは逆で雪山と同じように膝への負担が少なくて歩きやすいのだが。

 左手の鞍部ではなくオベリスク向けて右の道を登りきり岩稜帯へ。この岩場はクライミングの範疇ではなく一般登山レベルなので技術的には容易だ。上部は無人で裏側からオベリスク基部へと入れる岩の隙間から内部に入ると今年はロープが垂れていた。でもここを登る度胸も技術も無いので今回もオベリスク登頂はパス。

 岩の隙間を戻って初めて進路を東へ。最初は花崗岩だが尾根が狭まるとハイマツ登場。でも明瞭な踏跡あり。一段下がった平坦な尾根(2740m肩)には真っ赤に錆びた標識とお地蔵様、そして遭難慰霊碑があった。オベリスクでの遭難者だろうか? まさか離山へつながる尾根上での遭難ではないよな?

 この先も基本的には尾根上を進むがハイマツがはびこっているので西側を巻く場面が多くなる。足を保護するため長ズボンを履くべきだが暑いし面倒なので半ズボンのまま進む。慰霊碑より北側でも薄くなるが踏跡が続く。いや、正確には獣道だろう。カモシカの糞がたくさん見られた。動物はわざわざ藪の中を突っ切ることはせず、ハイマツを迂回できる場所は迂回するようなルート取りをしているので人間にとっても利用価値は高かった。

 ダケカンバのなだらかな尾根に変わるとハイマツは消えて歩きやすくなり、その先で2690m鞍部へと下る。ここにも獣道あり。反対側の斜面は花崗岩とハイマツで、ハイマツは避けて西寄りをトラバースして登っていく。やがて広いピークの山頂部に出ると白い花崗岩の巨石と緑のハイマツで庭園のような雰囲気。ただし石が巨大すぎるのがちょっと違うところか。でも石が大きければハイマツは生えられないので藪漕ぎしなくて助かる。しかし実際に進んでみると石が大きいのは悪い面の方が多かった。どん詰まりは高さ数mの崖状で下れない場所が多く、まるで迷路のよう。おまけに石がでかいので先の様子が見えない。そこで石の上はできるだけ避けて石の間を通るのだが、ここも石の大きさが災いして落ち込み方が半端ではなく渡れない個所が多かった。右往左往しながら進んだが帰りは同じルートを通っていない。途中、2箇所ほど巨岩上にケルンが見られたが、本当にそこが正解ルートなのか今でも疑問だ。岩の上からは離山4,3,2峰が見えるが山頂は見えていないようだった。

 やっと山頂部を通過して北西へ下り始めるところでまた難所が登場。今度は簡単に迂回できる場所が無く、先はナイフリッジのような岩。ここはとても進めない。少し戻って岩の隙間から3mほど下へギリギリ下れそうなところを下りてみることに。ここでお助けロープを出す。下りはちょっとだけ使ったが上りは不要だった。

 これでもう安全かと思いきや、その先も細い岩場が続いて尾根直上は無理だ。岩の北側は岩は無くハイマツ藪があってここなら下れそうだがかなりきつい藪漕ぎになりそうだ。上空は雲が厚くなり始めて天気は下り坂らしい。この辺で偵察は切り上げることにした。帰りがけに巨岩の南側を覗いてみたが、こちらはダケカンバが中心で北斜面より藪が薄いように見えた。次に機会があったらこちらを迂回してみるか。

 巨岩の迷路を突破して休憩。オベリスクにもガスが掛かり始めてちょっと心配になってきた。濡れたハイマツ漕ぎはごめんなので早めに休憩を終えて出発。往路とは違う場所を歩いた個所もあったが、獣道が明瞭な区間は往路をトレースできたはずだ。

 遭難碑の平坦地を通過してオベリスク直下へ。往路は北側を巻いたが南側へ巻けそうな踏跡を発見、岩を登ると石碑、祠があった。そしてなおも進むと往路で登った岩場へ。オベリスクは基部をぐるっと一周可能であった。これは初めて知った事実だった。

 鞍部まで下って休憩。ガスはオベリスクを時折隠すがそれ以上天候の悪化はなかった。ただしもう北岳方面はずっとガスが沸きあがって見ることはできなかった。

 もういいだろうと小屋へ戻る。沢で水浴びしてからテントへ。まだテント場は半分も埋まっていない。夕方に確認したところ、ほぼ満杯までいったがまだ隙間がある状態で、適度と言えば適度な密度だったかも。昼寝してから一人酒盛り。もう昼の時間は短くなっているのが実感でき、PM7時には真っ暗だ。でも気温は高めで10℃を切ることはなく、ダウンジャケットを着てシュラフに入ったら暑くて夜中に目が覚めた。上空を見ると薄っすらと星が見える程度で上空は薄い雲が出ているようだった。寝る前に聞いたラジオの天気予報では今夜は所によって雨、明日明け方も同様でここが所によらないことを祈るばかりだ。

 翌朝3時に起床。観音岳で日の出を見るべくだが上空には星が見えない。でも尾根筋は見えているので稜線にガスは掛かっていないようだ。雨も降っていない。朝飯を食って予定通り4時に出発。まだ周囲は真っ暗だがテント場では多くの人が活動開始だ。私はお先に出発する。

 今回は観音岳に直登りするので小屋の水場を通過したらすぐに左に入って沢を渡って梯子を登る。暗闇で迷いやすいのはここまでで樹林帯に入れば道ははっきりする。ただしオーバーユースで深く掘れていて歩きにくい。滝のような段差では迂回路があるのでそれを見落とさないように進む。周囲は深い樹林で他にライトの光は見えない。

 歩いている途中で雨が落ちてきた! 樹林の中でも雨粒が分かるくらいなので小降りではないのかもしれない。こりゃゴアの出番かと思ったら数分で止んだ。そんなことが数回繰り返し、大降りはしないのかもしれないが山頂での好天は期待できない情勢だ。でも下山は中道に決めているのでこのまま山頂を目指す。

 森林限界が近くなった頃にようやく周囲が明るくなり始めた。そして鞍部に出ると森林限界突破で急に明るくなりライトが不要に。観音岳を見上げるとガスがかかっている。こりゃやっぱダメかな。でも今は雨は落ちていない。それだけでもラッキーと考えよう。風は弱く気温はやっぱり10℃くらい。体を動かしているとちょっと暑いくらいだが汗まみれになるほどではない。

 森林限界の尾根歩きだが西からはガスが上がり東は背の高い雲海で展望が無い。これは雲の上から太陽が顔を出すまでに時間がかかりそうだ。既に日の出の時刻を迎えたが太陽は見えず。山頂で待っている人も残念だろう。

 今年3度目の観音岳山頂。残念ながら時々ガスが流れて展望は悪い。一時的に白峰三山が姿を表すが高いところは雲の中だった。中央アルプス、北アルプス方面は全く見えなかった。まあこんな日もあるさ。今日は多少待っても展望が良くなるとは思えず、少し休憩して下山を開始した。

 薬師岳までは下りなら約15分しかかからないので開けた森林限界の稜線歩きは短い。タカネビランジは咲き終わった株もあるがまだ咲いている株もある。山ではもう秋でこれからはリンドウやキキョウの類が中心となるだろう。

 薬師岳では山頂を踏んでおく。観音岳は相変わらずガスが掛かったり切れたりを繰り返していた。

 さあ、標高差約1500mの中道の下り。すぐに森林限界を割ってシラビソ樹林へ。稀に樹林が開ける個所があるが基本的には展望が無い樹林帯が延々と続く。日差しが無くて涼しくていいとも言えるが、今日はすぐに雲の層に入って天然ミスト状態で涼しくていい。でも体を動かしていると徐々に汗ばんできて御座石で立ち止まって汗を拭う。標高2000m付近で低い笹が登場するとシラビソ樹林から唐松植林帯へ切り替わり、足元は朝露で濡れた笹の葉がはみ出して靴や靴下を濡らす。しまった、ロングスパッツを持ってくればよかった。下山までに靴下も靴もびしょ濡れになってしまった。湿った木の根は非常に滑りやすく2回ほどコケてしまった。

 すれ違ったのは3名だけ。日曜日から登る人はやっぱり少ない。稜線に出る頃には天候が回復するといいのだが。

 廃林道を突っ切れば笹とはおさらば。でもまだまだ下る。3人目の登山者が見えたところでまたしても濡れた木の根で派手にコケて恥ずかしかった。今回の登山靴はもう寿命を迎えつつある靴底の磨耗が激しいやつなので特に滑りやすい。これを履くのは今年いっぱいかな。

 最後はジグザグに斜面を下って中道登山口へ。薬師小屋は既に予約でいっぱいとの張り紙あり。小屋が小さいからなぁ。登山口より林道を少し上に登った駐車スペースには私のを含めて車は3台。着替えていると軽トラが上がってきたがこれは登山者ではなかった。テントを虫干ししたかったがここは雨が降ったようで地面が濡れているのでパスし、林道のどこかでやろうと考えたが韮崎一帯は雨だったようでどこも地面が濡れてテント干しはできなかった。

 諦めて車を走らせると甲府市内では薄日も差して暑いくらいだったが笹子トンネルを抜けると雨で気温が一気に下がって21℃。天候が劇的に変わった。やっと下界も秋の気配を感じられるようになったかな。

 

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